染料インクと顔料インクの違いは何ですか

logo_b

:インクジェットプリンタのインクには、「染料インク」と「顔料インク」があると聞きました。違いと、どちらを使うのがいいのですか。

 

logo_a

:それぞれのインクを説明します。

「染料インク」とは、名前の通り、紙の繊維質に浸透し着色するため発色が鮮やかで、主に写真印刷などに向いています。

インクジェット専用用紙、写真専用用紙等、インクジェットプリンタで使用することを前提に製造された用紙では、紙表面に特殊な処理を施しており、染料インクが表面に付着した後のしみ具合等を適切にコントロールしています。

このため写真は色鮮やかに美しく高精細に、細かい文字や線もシャープに表現できます。
一方、一般のコピー用紙(PPC用紙)等にプリントした場合には、インクの染み込みがコントロールされないために、紙質によっては滲んだように紙の中に広がったりします。

また、一般的に染料は水に完全に溶けると言う性質上、プリントされて完全に乾燥した後でも水がかかるとその水に溶け出してしまいやすく、耐水性に劣る傾向があります。

紫外線やオゾン等に、顔料に比べて弱い傾向があり、長期保存には向かない面があります。

「顔料インク」とは、書道に使う墨などが代表的であり、耐久性、耐光性に優れているといった大きな特徴があります。実際に古代の遺跡から発掘された木簡に墨で書かれた文字が千数年たった今でも判読可能です。

染料に比べ圧倒的に粒子が大きいという特徴があり、高精細な写真プリントの場合には粒子の粗さが目立つ場合もあるようですが、普通紙にプリントした場合でも紙の中部まで浸透せず表面に残った状態で着色するので文字などをクッキリと印刷することができ、普通紙への写真プリントでも染料インクを使用した時よりも鮮明にプリントができます。

インクジェットプリンターが開発された当初は顔料インクはありませんでした。その理由は高精細に印刷するにはノズル選択を極力細くして噴出するインクを小さくする必要がありました。顔料インクは染料インクに比べ粒子が大きいため目詰まりを起こしてしまうためです。

その後の開発でビジネス用プリンタに顔料インクが採用される場合が多く、耐水性、耐久性、耐光性に優れた特徴を利用し、雨粒があたっただけで滲んで読めなくなっては困る封筒などの宛名印刷や、法律で義務づけられている経理書類や資料などの印刷に向いています。

もちろん普通紙への両面印刷などの場合も裏写りがしにくい顔料インクが最適です。

現在、一般的に日本国内で販売されているインクは、特別な表示がされない限り顔料インクタイプのものでも、染料インク仕様で販売されています。その理由は目詰まり等の技術的な問題と、染料インクに比べ顔料インクが高いと言うコスト面からです。

最近では染料、顔料共にメーカでの研究が進み、それぞれ機種によりいろいろと工夫がされていますので、顔料と染料を選択するのではなく、仕様をよく読んで自分にあった機種選びをされて下さい。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください